川上英明
2単位
食物栄養科栄養士コース
履修系統図番号 | 2NPC-0108 |
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科目区分 | 一般基礎教育科目 |
必修、選択の別 | 選択 |
授業形態 | 講義 |
到達目標 | (1)アイドルの表象の分析を通して、1960年代から現代に至る日本の文化や社会を理解する。
(2)哲学・社会学・政治学などの学術的な知識と架橋させながら、アイドルを鑑賞・分析する視点を獲得する。 (3)アイドルに限定せず、広く現代文化(ポップカルチャー)を構成する対象に対して、自分なりに分析を加えて、考察(プレゼンテーション)を行うことができる。 |
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授業概要 | 本講義は、現代文化の一つとしての「アイドル」を主題とし、その分析を通じて、戦後日本の文化や社会を理解することを目的とする。
いわゆるアイドルは、1960年代以降、日本の文化や社会にとって一つの契機であり続けている。本講義では、アイドルの歴史に関する講義や、学術的な知識とアイドルの表象を架橋させることで、「アイドルを研究する」ことを試みる。具体的には、「カルチュラル・スタディーズ」の知見に基づき、カルチャーとしてのアイドルをめぐる政治的、経済的、ジェンダー的な問題を考察する「アイドル・スタディーズ」の文脈を念頭に置く。その上で、なぜ人はアイドルを推すようになるのか、あるいはならないのか、といった人間形成論的な問いを念頭に、アイドルを推す「ようになる」ことに伴う教育学的な問題にも射程を広げたい。 また、受講生には、本講義を通してアイドルを分析する視点を獲得させた上で、アイドルに関する自分なりの考察(プレゼンテーション)を課す。そのことを通して、現代の文化や社会を相対化して捉える視点を育みたい。 なお、状況によってはオンラインでの授業になる可能性もある。 |
学習内容 | ||
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回数 | 内容 | 学習のポイント(事前事後の学習を含む) |
1回 | ガイダンス | 学習のポイント:本講義の目的と内容
事前学習:シラバスを印刷し、熟読する。(30分) 事後学習:講義の概要とねらいを理解するために復習する。(60分) |
2回 | 「アイドル・スタディーズ」の視角――カルチュラル・スタディーズとの接点 | 学習のポイント:アイドル・スタディーズの趨勢について
事前学習:配布資料を熟読する。(60分) 事後学習:本講義を貫く視点としてのアイドル・スタディーズの内容についてまとめる。(120分) |
3回 | 山口百恵のポストフェミニズム――70年代日本における社会運動とアイドル | 学習のポイント:山口百恵のポストフェミニズム
事前学習:配布資料を熟読する。(60分) 事後学習:70年代日本におけるアイドルとフェミニズム運動についてまとめる。(120分) |
4回 | ガールクラッシュとシスターフッド――K-POPアイドルにおけるフェミニズムの表現 | 学習のポイント:ガールクラッシュとシスターフッド
事前学習:配布資料を熟読する。(60分) 事後学習:K-POPアイドルにおけるフェミニズムの政治性(ポリティクス)についてポイントをまとめる。(120分) |
5回 | 松田聖子のユーモア/中森明菜のアイロニー――ドゥルーズのマゾッホ論の観点から | 学習のポイント:松田聖子と中森明菜
事前学習:配布資料を熟読する。(60分) 事後学習:ユーモアとアイロニーの対比を通して聖子と明菜の特徴をまとめる。(120分) |
6回 | アイドルの審美化――ベンヤミンの「政治の審美化」から見る乃木坂46 | 学習のポイント:乃木坂46と「政治の審美化」
事前学習:配布資料を熟読する。(60分) 事後学習:ベンヤミンの思想の観点から、乃木坂46の特徴をまとめる。(120分) |
7回 | 大江健三郎を読む齋藤飛鳥――アイドルと文学 | 学習のポイント:齋藤飛鳥は大江健三郎をどのように読んでいるのか
事前学習:配布資料を熟読する。(60分) 事後学習:アイドルが文学を読む意味についてまとめる。(120分) |
8回 | 不和のアイドル、アイドルの不和――欅坂46とランシエール | 学習のポイント:欅坂46の政治性
事前学習:配布資料を熟読する。(60分) 事後学習:ランシエールの政治哲学の視点から、欅坂46の特徴をまとめる。(120分) |
9回 | 櫻坂46のアナーキズム――ルールに縛られない生き方とは何か | 学習のポイント:櫻坂46のアナーキズム
事前学習:配布資料を熟読する。(60分) 事後学習:アナーキズムの観点から、櫻坂46の特徴をまとめる。(120分) |
10回 | プレゼンテーション(1) | 学習のポイント:プレゼンテーション
事前学習:プレゼンテーション発表の準備をする。(360分) 事後学習:発表に対するコメントを作成する。(120分) |
11回 | プレゼンテーション(2) | 学習のポイント:プレゼンテーション
事前学習:プレゼンテーション発表の準備をする。(360分) 事後学習:発表に対するコメントを作成する。(120分) |
12回 | プレゼンテーション(3) | 学習のポイント:プレゼンテーション
事前学習:プレゼンテーション発表の準備をする。(360分) 事後学習:発表に対するコメントを作成する。(120分) |
13回 | 歴史と文脈の中の「主体」――米津玄師の「地球儀」とベンヤミンの歴史哲学 | 学習のポイント:米津玄師の「地球儀」とベンヤミンの歴史哲学との関係性
事前学習:米津玄師の「地球儀」の歌詞を確認しながら聴いてくる。あるいは、宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』を鑑賞してくる。(120分) 事後学習:ベンヤミンと米津の関係性についてまとめる。(120分) |
14回 | アイドル・カルチャーの人間形成論 | 学習のポイント:アイドルを人間形成論の観点から捉えなおす。
事前学習:配布資料を熟読する。(60分) 事後学習:人間形成における文化や習慣の意味を理解し、その観点からアイドル・カルチャーを捉えなおす。(120分) |
15回 | 総括講義 | 学習のポイント:プレゼンテーションおよび期末レポートに対する講評を行い、本講義での学びを総括する。
事後学習:本講義での学びをまとめる。(120分) |
成績評価の方法・基準 | 毎時の授業コメント30%、プレゼンテーション30%、期末レポート40%で評価する。
・毎時の授業コメントは、記述の質と量を総合的に見取り、S、A、B、C、Dの五段階で評価する。 ・プレゼンテーションは、聴き手への配慮、「推し」に対する自己分析の程度、パワーポイントの完成度等を総合的に見取り、S、A、B、C、Dの五段階で評価する。 ・期末レポートは、プレゼンテーションの内容をさらに発展させているかどうか、レポートとして適切な形式で記述されているか等を総合的に見取り、S、A、B、C、Dの五段階で評価する。 |
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教科書・参考書 | 教科書は指定しない。
参考文献: 香月孝史ほか編『アイドルについて葛藤しながら考えてみた:ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉』青弓社、2022年。(¥1,600) ジョン・ストーリー『ポップ・カルチャー批評の理論:現代思想とカルチュラル・スタディーズ』鈴木健・越智博美訳、小鳥遊書房、2023年。(¥3,200) 田島悠来編『アイドル・スタディーズ:研究のための視点、問い、方法』明石書店、2022年。(¥2,400) 吉見俊哉『現代文化論:新しい人文知とは何か』有斐閣、2018年。(¥2,000) ほか、授業内で紹介する。 |
履修条件 | なし。
単位取得の希望の有無にかかわらず、聴講したい学生は歓迎する。 |